「左上大静脈遺残」という病態はご存じでしょうか?
通常、上半身の血液は右側の上大静脈に集まり心臓に入ります。人の体ができる発生の過程で、両側にあった上大静脈は左側が退縮し、右側だけが残るのが正常です。しかし、左上大静脈遺残はその名前の通り、左側の上大静脈が退縮せず遺残する状態です。
左上大静脈遺残は成人の0.3~0.5%に見られますが、通常無症状であり血行動態に影響を及ぼさないことが多いため、存在しても単独ではまったく問題にはなりません。
胎児期には診断されず、成人になって検査をしたらたまたま見つかったという事も少なくありません。ただし、非常に稀に他の先天性疾患が合併しているとの報告もあり、注意深く観察する必要があります。
【左上大静脈遺残】



胎児の心臓の断面写真です。
左心房と肺動脈の上方(画像上側は赤ちゃんの左側になります)に、正常では認められない血管があります。この血管が認められた場合、まず左上大静脈遺残を考えます。しかし、稀に総肺静脈還流異常症など、出生後直ぐに処置をしなければいけない疾患と超音波所見が似ている場合もあります。そのため、血管がどこに流入しているかなど上下左右を確認し、正確に鑑別することが大切です。
胎児の血管は非常に細く、約2~3㎜程しかありません。また、赤ちゃんの体勢や羊水量、胎盤の位置などにより見える条件が大きく異なります。決められた診療時間内に細かく観察するには、ある程度の経験と知識が必要です。
当院では、このような胎児の構造異常も胎児スクリーニング検査で確認しています。
他院で妊婦健診に通われている方も、当院で胎児スクリーニング検査を受けられます♪
ご希望の方は直通電話042-782-4135で予約をお願いします。
*掲載の超音波写真は、すべて当院で撮影した写真です。
*こちらの症例は他の異常がないことを正確に診断し、当院でご出産されています。
当院の胎児スクリーニング検査①は、こちら
当院の胎児スクリーニング検査②は、こちら
にしさこレディースクリニック 院長


