当院の胎児スクリーニング検査について②

当院の胎児スクリーニング検査では赤ちゃんのスクリーニングだけでなく、胎盤や臍帯の形態的な異常がないか初期・中期に確認していきます

胎盤や臍帯の異常は、超音波検査以外の出生前診断で知ることはできません。また後期になると羊水量が減少したり成長した赤ちゃんが影となり異常を見つけることが困難になります。
お産の際に赤ちゃんの命にも関わる事ですので、初期・中期での臍帯や胎盤のチェックは非常に大事です。

【正常な臍帯と胎盤】

正常な臍帯は、胎盤の真ん中か側方に付着(矢印)しています。臍帯の付着する位置によってそれぞれ正中・側方・辺縁付着といいます。

【臍帯卵膜付着】

妊娠13週の経腹超音波写真です。
写真左下から右上方に向かってのびる臍帯が、胎盤ではなく子宮の壁に直接付着(矢印)しています。これを「臍帯卵膜付着」といいます。*卵膜とは子宮の壁の内側にある赤ちゃんと羊水を覆っている膜のことです。
さらに付着後の血管が子宮の壁を沿い、写真下に向かって走行しているのがわかります。この写真の下側は赤ちゃんの出口(子宮口)があります。この細い血管が子宮口の近くを走行している場合を「前置血管」といいます。診断されずこのままお産が進行すると、細い血管は赤ちゃんの頭に圧迫され循環障害を起こしたり、血管が断裂し赤ちゃんの命に関わります。

胎盤や臍帯の付着位置は、週数が進み子宮が伸びてくると位置が移行していきます。しかし、この様な明らかな卵膜付着は正常にならないので注意深く観察すれば妊娠初期でも十分に判断することができます。

【正常な臍帯と単一臍帯動脈】

上段の写真は正常な臍帯断面です。臍帯は動脈2本、静脈は1本、合計3本の血管が束なっていますので、断面はミッキーマウスのように〇が3つ見られます。下段の写真では、臍帯動脈は1本しかありません。これを「単一臍帯動脈」といいます。正常であれば3本の血管が見えるのですが、動脈が1本なので合計2本しか見えません。

実際に単一臍帯動脈を診断する際は、臍帯血管の数を確認するのではなく、膀胱外側を走行する臍動脈の数を診ますので、妊娠初期に容易に診断できます。単一臍帯動脈は、他の心奇形が合併していたりお産の際に胎児機能不全の原因にもなります。

この様に、正確に臍帯や胎盤のスクリーニングすることは非常に大切なことです。

他院で妊婦健診に通われている方も、胎児スクリーニング検査を受けられます
ご希望の方は042-782-4135で予約をお願いします。

当院の胎児スクリーニング検査①は、こちら
当院の胎児スクリーニング検査③は、こちら

にしさこレディースクリニック 院長